KYOTO · TERAMACHI · 1926 —
革の本の上で燻るブリヤーパイプ。鉢に灯る火から細い煙が立ちのぼる
創業一九二六年 — 京都・寺町二条

静寂を、燻らす。

煙は、時のかたち。

Smoke is the shape of time.

一服、約四十分。火と葉と呼吸だけで組み立てる、世界でいちばん遅い贅沢。パイプタバコの百年を、ここ寺町から。

本日の一服夜想
1926創業 / Founded
27取扱産地の葉 / Origins
1,400+歴代調合 / Blends

01 — 世界観 / Philosophy

煙は、いちばん静かな言語。

マッチを擦り、火を回し、灰を育てる。四十分のあいだ、世界は煙の速度で進む。パイプタバコとは、効率の時代への、静かなる不服従である。

紙巻きたばこが「隙間」のためのものなら、パイプは「余白」のためのものだ。予定と予定のあいだに挟まるのではなく、午後の光そのものを、ひとつの儀式へと変えてしまう。

良いパイプは、三代の手に耐える。ブリヤーの鉢は使うほどに色づき、持ち主の吸い癖を記憶し、やがて誰のものでもない「その人だけの火」を育てる。私たちはその火を、百年にわたって寺町で守ってきた。

煙は言葉を必要としない。ただ立ちのぼり、形を変え、やがて消える。その消え方こそが、その日のあなたの呼吸の記録である。私たちは葉を売るのではない。四十分の沈黙を、手渡しているのだ。

「火を急かすな。煙が、先に答えを持っている。」

— 煙霞堂 初代

暖炉のほとりの書斎。革張りの椅子と積み重なった本
革装の本の上に置かれたパイプ
寺町の夜、暖炉のほとりで — ブリヤーと革、そして煙。
0
一服の平均所要時間
Average per bowl
0
手入れされたパイプの寿命
Life of a cared-for pipe
0
火床をつくる灰の層
Layers of the fire bed
0+
歴代の調合レシピ
Recipes in the archive

02 — 葉 / The Leaf

七つの葉が、千四百の配合へ。

世界中のパイプタバコは、ほんの数種の葉の対話でできている。産地と乾燥法が性格を決め、調合師がその夜の声量を決める。まずは七つの基本葉を、一枚ずつ覚えてほしい。

乾燥させたタバコの葉のマクロ写真

葉は、土地の記憶を吸って育つ。

01 — 筆頭葉

バージニア

Virginia — the backbone
産地 / Originアメリカ南部(ノースカロライナ/バージニア)乾燥法 / Curing熱風乾燥(フルキュア)糖分 / Sugar非常に高い

すべての調合の背骨。糖分が高く、火持ちが良い。蜂蜜と柑橘の甘みは、他の葉を包み込む器の大きさを持つ。迷ったら、まずバージニアから。

「干草、シトラス、
紅茶のような甘み」

配合の土台として、50〜85%を占めることが多い。

02

バーレー

Burley
産地 / Originアメリカ・ケンタッキー乾燥法 / Curing空気乾燥(エアーキュア)

「ナッツ、カカオ、乾いた土」

コクとニコチン。香りを抱きとめる懐の深さ。

03

ラタキア

Latakia
産地 / Originキプロス・シリア乾燥法 / Curing薫煙乾燥(オークと松の煙)

「焚き火、革、燻製のような深み」

少量で全体を支配する、夜のための葉。

04

ペリク

Perique
産地 / Originルイジアナ・セントジェームズ乾燥法 / Curing圧搾発酵(オーク樽で一年以上)

「干し葡萄、梅、黒胡椒」

世界の生産量が最も少ない「香辛料」。

05

オリエンタル

Oriental
産地 / Originトルコ・ギリシャ・バルカン乾燥法 / Curing天日乾燥

「樹脂、スパイス、乾いた花」

香りの天井。ラタキアの相棒。

06

メリーランド

Maryland
産地 / Originアメリカ・メリーランド乾燥法 / Curing空気乾燥

「きわめて穏やか、空気のような軽さ」

煙をやわらげる「中性子」。

07

ケンタッキー

Kentucky Dark
産地 / Originアメリカ・テネシー乾燥法 / Curing薫煙乾燥

「焚き火の残り香、力強い煙」

無骨な男の葉。少量で輪郭を出す。

調合室 — THE BLENDING ROOM

五種の葉を、あなたのさじ加減で混ぜる。

処方箋:
推定強度中庸

03 — かたち / Shapes

かたちは、吸い方の約束。

パイプのシルエットは、ただのデザインではない。鉢の深さ、煙道の長さ、曲がりの角度が、煙の温度と速度を決める。六つの基本形を知れば、あなたの夜に合う一本が見えてくる。

六つの異なる形状のパイプが並ぶスタジオ写真

一本の曲線が、ひと晩の温度を決める。

ビリヤード

Billiard初心者向き

まっすぐな煙道と円筒の鉢。すべての形の原点であり、基準。最初の一本に選べば、かたちの言語が自然と身につく。

ブルドッグ

Bulldog男らしい

ダイヤ形の煙道と二本のビードライン。顎を噛みしめたような、無骨で意志のある輪郭。重厚な調合とよく合う。

アップル

Apple初心者向き

果実のように丸い鉢。やさしいドローと、掌に収まる柔らかなシルエット。午後の紅茶の隣に。

ポット

Pot長時間

幅広く低い鉢。ゆっくり長く吸いたい人のための器。暖炉の前の長い夜に、火は静かに応える。

ダブリン

Dublin紳士的

上に向かって広がる逆円錐の鉢。紳士の時代から受け継がれた、洗練された一本。香りの高い調合を引き立てる。

チャーチウォーデン

Churchwarden読書向き

20cmを超える長い煙道。「読書のパイプ」と呼ばれ、煙と熱を手元から遠ざける。物語の続きを、邪魔しない。

04 — 道具 / The Tools

パイプは、道具でできている。
そして道具は、やがて手癖になる。

七つの道具が、ひとつの夜を支える。横に流して、それぞれの余談まで読んでほしい。

01

パイプThe Pipe

ブリヤー、メールシャム、クレイ。鉢の素材は火の性格を変える。最初は9mmフィルター対応のビリヤードから。

余談

ひとつのパイプの鉢は、およそ五百回の火に耐える。

02

タンパーThe Tamper

灰を均し、火床を整える三種の神器。平らな面、丸い面、そしてピック。指先の記憶が、火の形を決める。

余談

強く押しすぎると、火は窒息する。

03

リーマーThe Reamer

鉢の内側に溜まるカーボン(ケーキ)を削る道具。厚さ1mmが理想の壁。削りすぎれば鉢は割れ、残しすぎれば火は苦い。

余談

ケーキはパイプの「内臓」であり、同時に鎧でもある。

04

クリーナーPipe Cleaners

吸い終わりの湿気は、味を壊す最大の敵。煙道は毎回、必ず通す。一本を三つ折りにすれば、曲がり角にも届く。

余談

職人は、一本を三つ折りにして使う。

05

パイプスタンドThe Pipe Stand

休むパイプを、床に置いてはならない。スタンドは煙突であり、寝床である。煙道を上に向け、湿気を逃がす。

余談

三本を交代で使うのが、長寿の秘訣。

06

ジャーThe Humidor Jar

葉は呼吸している。密閉しすぎず、乾燥させすぎず、湿度65%の暗がりを。ガラスのジャーは、葉の声を聞く耳である。

余談

開封後の葉は、半年が美味しさの峠。

07

マッチThe Match

ガスライターの炎は熱すぎる。硫黄を含まない長い軸のマッチが、葉を傷つけない。火を回す所作そのものが、儀式になる。

余談

点火には、最低でも二本のマッチを使う。

05 — 作法 / The Ritual

七つの手間で、火は応える。

05 — 作法の現在地 / NOW
パイプの点検
葉を詰める
葉を圧す
点火する
火を育てる
灰を守る
パイプを休ませる
STEP 01

点検Inspection

鉢を覗き、煙道にクリーナーを通す。昨日の湿気が残っていては、今日の葉は泣く。光に透かして、煙道の影がまっすぐ通っているかを確認する。

作法の要点

光に透かして、煙道の影を見る。

STEP 02

詰めるPacking

三度に分けて。一度目は綿のように七分目、二度目は五分目まで軽く、三度目は親指で八分。空気の通り道を、指先で感じる。

作法の要点

最後の圧は「吸えるが、崩れない」硬さ。

STEP 03

圧すTamping

タンパーの平らな面で、葉の表面を水平に整える。中央を窪ませると、火は芯まで届かない。回しながら、三秒。

作法の要点

回しながら、ちょうど三秒。

STEP 04

点火Lighting

マッチの炎を円を描くように回し、葉全体を均一に炭化させる。一回で決める必要はない。二点火、三点火は恥ではない。

作法の要点

二点火、三点火は恥ではない。

STEP 05

育てるPacing

三十秒に一口。強く吸えば火は熱くなり、味は苦くなる。灰の下で、火は勝手に育つ。吸うのではなく、通す。

作法の要点

吸うのではなく、通す。

STEP 06

灰を守るThe Ash

灰は捨てるものではない。火床を守る蓋である。崩れ落ちる分だけ、軽く落とす。灰が白いのは、火が健全な証拠。

作法の要点

灰が白いのは、火が健全な証拠。

STEP 07

休ませるResting

吸い殻を捨て、クリーナーを通し、スタンドへ。同じパイプを連日使わない。パイプは、眠っている間に若返る。

作法の要点

パイプは、眠っている間に若返る。

煙の漂う薄暗い応接室

— 夜のことば / A Word for the Night —

火を急かすな。
煙が、先に答えを持っている。

— 煙霞堂 初代、暖簾の裏に記した一文

06 — 銘柄 / House Blends

八つの調合、八つの夜。

煙霞堂の調合室から、看板の八種。数字は配合番号、名前は火の色からつけた。表示の配合は参考値 — 葉の収穫年により、毎年少しずつぶれる。

調合用のガラス瓶が並ぶ棚

棚の瓶ひとつひとつに、誰かの夜が眠っている。

全 8 種 / 50g
No.9
リボンカット

夜想

NOCTURNE
VA 30 / BU 10 / LA 35 / PE 10 / OR 15

焚き火、革の椅子、黒蜜の余韻。

◎ 深夜のひととき × アイラ・ウイスキー¥3,800
フレーク

琥珀 1911

AMBER 1911
VA 85 / BU 10 / OR 5

干草、蜜柑の皮、紅茶の湯気。

◎ 午後の余白 × アッサム¥3,200
ミクスチャー

海霧

SEA FOG
VA 40 / LA 25 / PE 5 / OR 30

松脂、乾いたスパイス、塩のある煙。

◎ 夕暮れの席 × シェリー¥3,600
リボンカット

白梅

WHITE PLUM
VA 50 / BU 35 / LA 5 / OR 10

蜂蜜、熟した梅、やわらかな煙。

◎ 食後のひととき × 梅酒¥3,400
プラグ

山眠

MOUNTAIN SLEEP
VA 40 / BU 15 / LA 10 / PE 20 / OR 15

干し葡萄、黒胡椒、赤ワインの樽。

◎ 雨の夜 × バーボン¥4,200
ミクスチャー

川風

RIVER WIND
VA 60 / BU 20 / LA 5 / OR 15

朝の空気、薄い紅茶、白い花。

◎ 朝のひととき × コーヒー¥3,000
リボンカット

白檀

SANDALWOOD
VA 40 / BU 5 / LA 10 / OR 45

白檀、線香、静かな午後の座敷。

◎ 昼下がりの席 × 煎茶¥3,500
プラグ

残照

AFTERGLOW
VA 35 / BU 45 / LA 5 / PE 5 / OR 10

焙じたナッツ、かすかなカカオ、暮れの名残。

◎ 黄昏の席 × ほうじ茶¥3,300

※ 配合比は参考値。葉の収穫年により毎年少しくずれます。価格は50g缶・税込。ご了承ください。

07 — 産地 / Origins

葉は、土地の方言を話す。

同じ種でも、土と風と乾燥法が違えば、まったく別の声になる。産地を知ることは、煙の地図を読むこと。私たちが扱う六つの土地を、ここに記す。

黄金色の夕日に照らされたタバコ畑
バージニアの朝霧。葉は、光を吸って甘くなる。

バージニア

Virginia / U.S.A.

ノースカロライナとバージニアの太陽帯。熱風で乾燥させた葉は糖分をたっぷり含み、蜂蜜と柑橘の甘みになる。あらゆる調合の背骨。

「甘い煙の、はじまりの土地。」

ケンタッキー

Kentucky / U.S.A.

ヒッコリーの薪火で燻して乾燥させるダークファイアド。力強く、土と煙の香り。強い調合の背筋を支える葉。

「火の記憶を、葉が抱いている。」

ラタキア

Latakia / Cyprus

天日で乾かしたのち、オークと松の煙で燻す。焚き火と革の香りの源。少量で部屋全体を夜に変える、魔術師の葉。

「夜の調合に、欠かせない煙。」

ペリク

Perique / Louisiana, U.S.A.

オーク樽で一年以上、圧搾発酵させる。世界で最も生産量の少ない葉。「タバコのトリュフ」と呼ばれる、梅と黒胡椒の刺激。

「ひとさじで、調合が目覚める。」

オリエンタル

Oriental / Türkiye · Greece

エーゲ海の太陽で育つ小さな葉。樹脂とスパイスの香りをまとう。ラタキアと組めば、香りの天井がひらく。

「香りは、上から降ってくる。」

日本・国分

Kokubu / Kagoshima, Japan

江戸期から続く国分煙草の系譜。穏やかで、どこか静かな和の葉。強さを競わず、余白を大切にする日本の火。

「主張しないことが、品格になる。」

08 — 手入れ / Care

手入れは、火への礼儀。

パイプは道具であり、同時に生き物でもある。吸い終わりの五分と、月に一度の手間が、九十年の寿命をつくる。周期ごとの手入れを、ここにまとめた。

職人の作業台でパイプを整える手元
削り、磨き、休ませる。手入れは、次の一服への手紙。
Every Bowl — 毎服

吸い終わりの五分

ドットル(燃え残り)を捨て、クリーナーを煙道に通し、スタンドで休ませる。湿気を残したまま眠らせると、次の火は酸っぱくなる。
  • ドットルを完全に除く
  • クリーナーが白くなるまで通す
  • 煙道を上に向けて休ませる
Weekly — 毎週

外装と煙道の掃除

シャンクブラシで煙道の奥を掃き、やわらかい布で鉢の外装を拭く。手の脂は、ブリヤーを飴色に育てる大切な養分でもある。
Monthly — 毎月

ケーキの調整

リーマーで鉢の内側を削り、カーボンの壁を1mmに保つ。削りすぎれば鉢は割れ、残しすぎれば火は苦い。紙一枚の厚みが、理想の鎧。
Quarterly — 季節ごと

深い洗浄

パイプスイートナー、あるいは無水アルコールで煙道を深く洗う。ステムには専用のオイルを一滴。乾いた煙道は、澄んだ煙を返してくれる。
Annually — 年に一度

工房での総点検

フィルター、テノン、ビットの摩耗を点検する。当店では全メーカーの修理を受け付けている。三代にわたる一本を、次の手へ渡すために。

09 — 歴史 / A Brief History

煙の五百年。

彫刻の施されたメールシャムのパイプ
ウィーンの白い鉢、メールシャム — 煙が工芸になった時代。
  • 新大陸との遭遇

    コロンブスの一行が、タバコの葉をヨーロッパへ持ち帰る。煙が、はじめて海を渡る。

  • ニコと、王宮の煙

    フランス大使ジャン・ニコが宮廷にタバコを献上する。アルカロイド「ニコチン」は、のちに彼の名を冠する。

  • ジョン・ロルフの畑

    バージニア植民地で、最初の商業用タバコが栽培される。「バージニア」と呼ばれる葉の歴史が、ここから始まる。

  • ウィーンの白い鉢

    メールシャムのパイプがヨーロッパを席巻する。彫刻師たちが腕を競い、煙は工芸へと昇華する。

  • ロンドン、ジャーミンストリート

    アルフレッド・ダンヒルが店を開く。パイプは「紳士の道具」として、ひとつの完成形を迎える。

  • 煙霞堂、寺町に灯る

    初代が京都・寺町二条に店を開く。暖簾には「煙と霞」。以来百年、火を守り続ける。

  • 大量生産の時代、そして沈静

    機械製のパイプが市場にあふれ、手仕事は工房の奥へと退く。煙の速度が、一度だけ速くなる。

  • 日本のパイプ・ブーム

    輸入が自由化され、サラリーマンのあいだにパイプ文化が花開く。ジャズ喫茶とパイプが、ひとつの風景になる。

  • 第三の波

    若い職人とマイクロ調合師が世界各地に現れる。スロー・スモーキングが、速度へのカウンターカルチャーとして戻る。

  • 創業百年

    煙霞堂、百歳。寺町の暖簾は、次の世代へと火を渡す。煙は、まだ立ちのぼっている。

10 — 言葉 / On Smoking

煙について、語られたこと。

01 / 05

11 — 随筆 / Essays

煙草便り、三篇。

火にまつわる短い随筆を、月に一篇。全文は店頭の小冊子に収めている。ここでは、その入り口だけ。

雨の日の書斎
随筆 01 —

雨の日の、リライト。

湿気の多い日は、火が二度、三度と消える。それを失敗と呼ぶのは、煙を知らない人の言い分だ。リライトは、雨と会話すること。消えては灯る火のそばで、私たちはようやく、自分の呼吸の速さに気づく。

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使い込まれた道具たち
随筆 02 —

祖父のタンパー。

真鍮の頭は、指の形に削れていた。道具は使われることで、ようやく持ち主のかたちになる。

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本の上のパイプ
随筆 03 —

煙の速度。

すべてが速くなった時代に、四十分を煙に捧げる。それは怠惰ではない。いちばん速く休むための、唯一の方法なのだ。

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12 — 用語集 / Glossary

煙の言葉を、十語。

カウンターで交わされる、短い符牒。覚えておけば、煙の会話が少しだけ豊かになる。

鉢の内側に育つカーボンの層。ブリヤーを熱から守る鎧であり、理想の厚さは1mm。削りすぎも残しすぎも禁物。

吸い終わりに鉢の底に残る、燃えきっていない葉。きれいに残れば、それは上手に吸えた証。湿気を呼ぶ前に必ず除く。

途中で消えた火を、もう一度つけること。失敗ではなく、煙との対話。雨の日ほど、リライトは増える。

煙道に溜まった湿気が、吸うたびに鳴らす音。聞こえたら、クリーナーを通す合図。煙道は乾いているほど、煙は澄む。

舌の先がぴりぴりとする感覚。強く吸いすぎたサイン。煙はゆっくり通せば、舌も火も、穏やかになる。

葉を板状に圧搾し、熟成させたもの。刻んで詰めて吸う。熟成の余地が大きく、寝かせるほどに甘みが増す。

空気の通り方。ドロー(吸い心地)の抵抗のバランスを指す。軽すぎれば火は熱く、重すぎれば煙は出ない。

活性炭のフィルター。煙と湿気をやわらげ、初心者の舌を守る。慣れれば外して、葉の声を直に聞く人も多い。

葉を詰める鉢の部分。パイプの心臓。素材と厚みが、火の性格と寿命を決める。

口にくわえる先端部分。唇にあたる形が、ドローの快適さを左右する。噛み癖もまた、ここに刻まれる。

13 — よくある質問 / FAQ

はじめての方へ、七つの答え。

はい。まずは9mmフィルター対応のビリヤード型と、香りのやさしいバージニア系アロマティックをおすすめしています。店頭では詰め方から点火まで、一服の流れを手取り足取りご案内します。道具の選び方も、予算に合わせて一緒に考えます。

パイプタバコは煙を肺には入れず、口の中で香りを楽しむ嗜みです。一服は約40分の儀式であり、隙間を埋めるものではなく、余白そのものをつくり出します。味覚と嗅覚のための、ゆっくりした時間とお考えください。

鉢の大きさによりますが、おおむね30分から60分です。急がず吸えば、火は長く応えてくれます。短い休憩には向かない——それが、パイプの正直さです。

パイプ本体・基本道具・葉を合わせて、おおむね15,000円から30,000円が目安です。当店では初心者向けのスターターセットもご用意しています。一本のパイプは正しく手入れすれば数十年持つため、長い目で見れば決して高くはありません。

密閉できるガラスのジャーに入れ、直射日光を避けた涼しい場所で、湿度65%前後を保ってください。適切に寝かせれば、香りは年ごとに深まります。開封後は半年が美味しさの峠とお考えください。

毎週末、予約制の「試香の会」を開催しています。数種の調合を少量ずつ香り比べ、ご自身の夜に合う一本を見つけていただけます。二十歳以上の方に限らせていただきます。

申し訳ありませんが、二十歳未満の方への販売・試香は、未成年者喫煙禁止法に基づき固くお断りしております。時が満ちましたら、ぜひ寺町の暖簾をくぐってください。

14 — 訪ねる / Visit

寺町の、細い暖簾をくぐれ。

住所
〒604-0902
京都市中京区寺町通二条下ル 煙霞堂 本店
営業時間
11:00 — 20:00
(火曜のみ 15:00 まで)
定休日
毎週水曜・第三木曜
電話
075-000-1926
アクセス
京阪「祇園四条」徒歩5分
地下鉄東西線「京都市役所前」徒歩7分
営業状況を読み込み中…
葉の量り売り試香(予約制)全メーカー修理調合相談
煙霞堂 本店の店内

煙草便り

月に一度、新調合と、火にまつわる短い随筆を。あなたの文箱へ、静かにお届けします。

※ 当店では、二十歳未満の方への販売を固くお断りしております。通信販売においても、年齢確認を行います。